2012 8/31 編集会議 @新宿らんぶる    ドクガクテツガク編集部 かな子


高橋さんが「いつも空いている喫茶店があるんですよ」と連れて行ってくれた。

「らんぶる」は、京都四条河原のフランソワ喫茶に似た、古風な喫茶店である。地下へとつながる踊り場では、ベートーベンの彫刻がシャンデリアを睨んでいる。大正時代のダンスホールを改築したような趣で、管弦楽曲が高い天井に響いていた。

 

だが、ところどころ椅子が中綿を露出していたり、植木の光沢が不自然であったりした。赤い絨毯が敷かれた踊り場の階段を、浴衣を着た女性が幽霊のように彼氏につかまって降りているのも、なんだかちょっと怪しい。窓に大きな鏡が嵌っていたり、「200席ある」と書かれていた店内が意外に狭かったりする。不自然だ。

 

ここは贋物の空間なのではないか、という疑問が二人に浮かんだ。

 

会議を終えて路上に出ると、白い光が何度も頭上に降りてきた。よく見ると、白い丸のなかに羽の絵が描いてあり、地面を這って流れていく。不思議に思って見回しても、どこから来たのか分からない。執拗に追いかけてくる。

 

目をそらすと、インターン帰りの学生らしき集団があった。中央に立っている男子は「俺は本当にお前らに出会えて良かったと思ってるんや! 」と熱く語っており、周囲の人は号泣していた。

 

就活を控える私は「嫌なものを見てしまった」と目をそらしたが、目の前でもカップルが抱き合い、夢物語を繰り広げていた。

 

白い光は追いかけてこなくなった。振り返ると、新宿の監視カメラが電灯に装着されていた。そのカメラから発せられている光であるようだったが、推測なのでよく分からないままである。

 

新宿の夜はせわしない。

 

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