府中刑務所で、カワイイはつくれる!

府中刑務所で、カワイイはつくれる!


刑務所の「臭い飯」が食べられたり、塀の中に入ることのできる府中刑務所文化祭。

なかでも目玉は、収監者たちによるグッズの販売バザー。

意外にかわいい、刑務所グッズをご紹介する。

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競馬場と刑務所が中心にある街、府中。
とぼけた短調のBGMが商店に流れる街は、「モヤモヤさまぁ~ず!」でも
扱いに困るような物寂しげな雰囲気だ。そんな街に刑務所はある。

刑務所に収監されている人々は、「作業」の一貫として靴やカバン、
家具などを造っている。
「普通の収監された人」が造っているにもかかわらず、
職人並みのクオリティを誇っていることはよく知られる。
お手頃価格でもあるため、お昼過ぎには売り切れの店が続出している。

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ポップないろどりと個性的な形で少女客から大人気だったキッチングッズ。
刑務所の中で最も乏しい物は「色彩」だった。
カラフルな家具が作業所での光だったのだろうか。

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刑務所的ゆるキャラ。粗雑さがまた味になっている。
こういうものを刑務所で作っているとき、人はどういう気持ちになるのだろうか
とふと考えてしまう。
刑務所文化祭で購入したキャラクターを愛でるのは、
あまりにハードルが高い行為だ。
最初はかわいいと思えても、1日に100個も200個も作り、
作ってもなお減らない原料の山を見ては、ため息もつきたくなるだろう。
老眼だとこのような細かい作業は辛いので、
若い受刑者が作っているものと思われる。

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最新府中刑務所コーデ。英国リバティ風ワンピースである。
丁寧にタックやリボンもつけられていて、値段1200円。
刑務所の過酷かつ単調な作業の中で作られていたものだと思うと、
生半可な気持ちでは着られない。

かわいいものに囲まれていて忘れそうになったが、ここは刑務所の中である。

府中刑務所のフリーペーパー「富士見」

「哀しみを 小さく畳み 仕舞う秋」 (男性)

「ここにきて 初めて知った 温かさ 今度は私があなたに返す」(十七歳女性)

収監されている人々の句である。
フリーペーパーには、句の選評や創作小説、イラストやクロスワードパズルなどが
収録されていた。
全体的に悲哀に満ちた内容で、
贖罪や会えない親を思う悲しみ、後悔が綴られている。
ツィッターもフェイスブックも使えない塀の中の雑誌は、
コンクリートで世間と隔てられた受刑者たちの
心の拠り所となっているのだ。

プリズンアドベンチャーツアーで見る「塀の中」

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塀の中に入り、作業所などが見学できるツアー。
二重の分厚い扉に入ると、イベントといえど、若干の恐怖がこみ上げてくる。

塀の中は撮影禁止だった。

ツアーでは、ノートや皮革製品を作る作業所や浴場、トイレなどを見ることができた。
体育館にある上履きやスリッパには、
各自の名前ではなく番号がマジックで書かれていた。

私の後ろを歩いているおじさんが、
あれ、マイ上履きの40番さんの番号、消されて65番になっとる。なんでやろな?
と言っていた。確かに番号の書き換えがされていたが、理由はわからなかった。

作業所は汚いんだろうな、という予想に反し、
拭き掃除が徹底されていたので、全てにわたり大雑把な我が身を反省した。
中庭の植木が全て完璧な丸に剪定され、
花壇の花までもが一定の間隔にそって植えられている。
集団や規律の徹底が重んじられていることが、庭からも見て取れた。

こんな無機質な空間でひたすら規律を求められていては、気がくるってしまいそうだ。
婚活連続殺人事件で死刑を宣告された木嶋佳苗の「拘置所ブログ」によると、
収監のストレスで向精神薬を服用している人は少なくないらしい。

「ストレスを与えるのが目的で独房に入れているのに、
薬で楽になってしまっては罰にならないのでは」、との声もあるようだが、
精神薬の中毒症状になり、かえって苦しむ人も現れるくらいだそうだ。
薬物依存ではいったのに、更にこじらせてしまう深刻なケースもあると言う。

そんなわけで、日頃のストレスを発散させるべく、
運動会なども開催されているようで写真が展示されていた。
おじさんたちが体育着を着て二人三脚をしている光景に、つかの間和んだ。

作業所では、普通の工場と変わらない設備が並ぶ中、
シャボン玉につかうプラスチックのピンクやブルーの容器が、箱に山盛りになっていた。

私の後ろを歩いていた先ほどのおじさんが、
うわー、あんな夢のあるもん、ここで作ってるんや。なんか、逆に悲しいなぁ。
今度からシャボン玉みる度に思い出すわ。ぷわぷわーっていっぱい吹いてまうわ。
と語り、子供が網の間からシャボン玉の入った箱を覗きこんでいた。

作業所の中の「安全ポスター」の渡辺麻友の笑顔だけがやけに眩しかった。
娑婆は幸せなのだろうか。


 

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