レンタル孫

レンタル孫


(※写真はドキュメンタリーの内容とは関係ありません)
正月に見たのは「レンタル孫」の密着ドキュメンタリーだった。
「ピンポーン」とインターホンが鳴り、髪を二つに結わえた4歳の女の子が
業者のおじさんとやってくる。
「よく来たね」とにこやかに迎えるおばあちゃんは
シニアタレントのように完璧な「おばあちゃん」だ。
おばあちゃんもレンタルじゃないの?と思ってしまうほど、
笑い皺の綺麗な方である。本物の孫が別にいるそうだが、事情があって会えないそうだ。
おばあちゃんは本物の孫のように女の子をかわいがり、
一緒にお菓子を食べたり、遊んだりしていた。
用意されていた食事は、かなり量も多く手が込んでいた。
よほど楽しみにしていたのだろう。4歳の子が食べられないほどの量の食事が
食卓にあると、余計寂しい気持ちになってしまう。
おばあちゃんの年末のイメージは、孫と団らんすることと
イコールだったのだ。
クリスマスを恋人と過ごすとか、年末は家族で過ごすとか、
誰もが思い描けるような幸せイメージは、一度人の心を束縛すると、
なかなか離れてはくれないのだろうな。

時間がくると、レンタル業者のおじさんがピンポーンと女の子を迎えに来た。
業者のおじさんが、「地域の会のおじさん」みたいな穏やかな人でよかった。
スーツのビジネスライクで無機質な人だったら嫌だ。

別れるときにおばあちゃんは泣いていて、辛そうだった。
「元気でね」と何度も手を振っていた。
4歳の女の子は元気そうに手を振っていた。
まだ4歳だからということもあるかもしれないが、ちっとも寂しそうではなかった。
これまで何人のおばあちゃんに手を振ってきたのだろう。
次会うことがあるとしても、女の子の中では色々なおばあちゃんがごっちゃになって、
忘れてしまうかもしれない。

レンタル友達というサービスもあるらしい。
ただ、友人は本物の友人であってもレンタルであると考えることもできる。
友人の母親から、娘である友人を借り、友人の恋人から恋人を
借りていることにもなる。
だから本物の友人でも、レンタルではないわけではないのだよね。

レンタル友達サービスは、時間単位でサービスの会社からお金を払う
システムになっているそうだ。

いくらレンタル友達と言っても、初対面の場合は、気まずさや違和感、
緊張や照れがあるだろう。
そういうのも含まれた自然さが友人っぽさになるのか、
あらゆる自己紹介や距離感をすっ飛ばし、「あなたと私」の関係になるのが、
レンタル友達の設定なのだろうか。

急に心の中に入りこまれたら怖いし、戸惑いそうだ。
なんてったって友達として自分を売るほどなのだから、
距離感をつかむのが抜群に上手な人のかもしれないし、
相手に合わせてメタモンのようにキャラクターを変えるのが
得意な人なのかもしれない。

1時間だけの友達、というと刹那的な関係か、道具のような人間関係
という極端な構図が思い浮かんでしまうけれども、
意外とライトなサービスで、「ちょっと忙しいからおつかいに」とか
とかそういうものなのだろうか?
自己犠牲的な関係を想像してしまうのは考え過ぎなのかな。

ところでレンタル孫のおばあちゃんは、年末を誰と過ごしたのだろうか。

 

関連記事:

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...